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基板の復習:認証制度・規格・規制・基準など
基板について、わかっているようでわかっていない箇所を、少しだけ掘り下げます。
UL、IPC、ISO、JIS、chemSHERPA、RoHS、REACHあたりになるかと思います。 ここでは、なんとなくわかったつもりで流しがちなこれらについて、少し掘り下げます。
電気製品や部材が「安全に使えるかどうか」を評価し、基準を満たしたものに対して「ULマーク」を付与します。 世界的に知名度が高く、北米市場向け製品には特に重要視される規格です。 基板とULの関係 プリント基板(PCB)も電気製品の一部であり、UL規格に基づく安全性評価が行われます。 基板の燃えにくさ(難燃性)、絶縁性、耐熱性などが審査対象となり、合格した材料や基板にはUL番号が付与されます。代表的なものが「UL94 V-0」などの難燃グレードです。 主なチェック項目 難燃性:火災時に燃え広がらないか 絶縁性:電気的にリークや短絡を起こしにくいか 耐熱性:高温環境で形状や性能を維持できるか トラッキング耐性:湿気や汚れがあっても電気の「道筋」ができにくいか メリット 信頼性向上:UL認証は世界的に認められているため、顧客に安心感を与えられる 輸出入に有利:特に北米向けはUL認証があることで通関や商談がスムーズ トラブル回避:火災・感電などのリスクを事前に低減できる
IPC(Association Connecting Electronics Industries) は、アメリカに本部を置く電子回路関連の業界団体です。 もともとは「Institute of Printed Circuits(プリント基板協会)」として設立され、その後電子部品・実装全般に対象を広げました。 IPCが策定する規格(IPC standards)は、プリント基板や電子機器の設計・製造・検査における世界標準として利用されています。 2. IPC規格の種類 IPC規格は非常に幅広く存在します。代表的なものを挙げると IPC-2221:基板設計の一般規格(レイアウトルールなど) IPC-6012:リジッド基板の品質保証要件 IPC-A-600:基板の目視検査・合否基準(Acceptability of Printed Boards) IPC-A-610:電子組立品の合否基準(Acceptability of Electronic Assemblies) 3. IPCのクラス分け(Class) IPC規格では、製品の用途や信頼性に応じて「品質レベル」を3段階で定義しています。 ・Class 1(一般電子製品) おもちゃ、家電、民生機器など 外観や性能の要求が比較的緩い ・Class 2(専用電子製品/商用製品) 産業機器、事務機器、通信機器など もっとも一般的に使われる基準 信頼性とコストのバランスが取れている ・Class 3(高信頼性電子製品) 医療機器、航空宇宙、防衛分野など 「絶対に壊れてはいけない」用途 検査基準も厳しく、コストが高い ⇒ 実務的には Class 2 が標準 とされるケースが多いです。 ユニクラフトの基板製造でも基本的にClass 2を採用しております。 4. IPC規格が使われる理由 国際共通の“物差し”:顧客とサプライヤーが「合格・不合格」を判断する基準になる 品質保証:不良率・信頼性の目標を明確にできる 契約上のトラブル回避:受入検査で「IPC規格準拠」を明記すれば、判断が標準化される 輸出入の必須条件:グローバル市場での取引では事実上必須 5. IPCとULとの違い IPC:品質・設計・検査の「基準」 → 製品がどの程度のレベルで作られているかを定義 UL:安全性認証 → 材料や製造プロセスが燃えにくい、安全に使えるかを証明 ⇒ 両方ともプリント基板業界では欠かせないが、IPC=品質基準、UL=安全基準 という役割分担があります。
・ISO(国際標準化機構) 基板メーカーが品質管理(ISO9001)や環境管理(ISO14001)を国際的に保証する規格。 ・JIS(日本工業規格) 日本国内の基準で、基板材料・寸法精度・信頼性試験を定める。海外取引ではISOやIPCが優先されやすい。 ・RoHS指令 EUの有害物質制限ルール。鉛フリーはんだやCCL・レジストの規制対応が必須で、輸出時は適合証明が求められる。 ・REACH規制 EUの化学物質規制。基板材料中のSVHCを調査・報告する義務があり、RoHSより広範囲な情報開示が必要。
これは規格というより標準フォーマットとなります。 chemSHERPAとは 1. 概要・役割 chemSHERPA(ケムシェルパ) は、日本国内で開発された 化学物質含有情報をサプライチェーンで正しく伝達するための標準フォーマット です。 経済産業省の支援を受けてJAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)が2015年ごろから策定を開始し、現在は基板・部品業界で標準的に利用されています。 プリント基板は、銅張積層板(CCL)、プリプレグ、レジストインク、めっき液など、多種多様な材料から構成されます。 そのため、どんな化学物質が含まれているかを正確に伝える仕組みが欠かせません。 2. なぜ基板に必要なのか 基板は欧州やグローバル市場に出荷されることが多く、各国の環境規制への対応が必須です。 RoHS指令:鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、臭素系難燃剤などの使用制限 REACH規制:SVHC(高懸念物質)の情報開示義務 ⇒ chemSHERPAは、これら国際的規制に対応するために、基板に含有する化学物質データを顧客に提供する標準ツールとして使われています。 3. chemSHERPAの仕組み chemSHERPAは、サプライチェーン全体で情報を引き継ぐことを前提に設計されています。 chemSHERPA-AI(材料・部品情報) 材料メーカー(例:CCLメーカー、インクメーカーなど)が発行するデータ chemSHERPA-CI(製品情報) 基板メーカーが材料情報を集約し、完成基板としての含有化学物質情報を顧客に提出 ⇒ この流れにより、材料メーカー → 基板メーカー → 実装メーカー → 完成品メーカーまで、環境規制対応データが一貫して引き継がれます。 4. 基板メーカーでの実務フロー 材料メーカーから chemSHERPA-AI データを入手 使用材料ごとの化学物質情報を基板ごとに集約 完成基板の化学物質情報を chemSHERPA-CI として出力 顧客(実装メーカー・完成品メーカー)へ提出 5. 特徴とメリット 統一フォーマット:顧客ごとに異なっていた報告様式を一本化 システム連携:XML形式により、品質管理システムとも連携可能 環境規制対応の効率化:RoHS / REACH対応をスムーズにし、輸出入時のトラブルを回避 中小企業にも対応可能:無償の入力支援ツールが公開されており導入しやすい ⇒ IPCやULが「品質・安全の規格」であるのに対し、chemSHERPAは環境規制対応の情報伝達ツールという位置付けです。
ULやIPCが「設計・製造品質」と「安全基準」を定め、ISOやJISが体制面を支える一方で、chemSHERPAは環境規制への対応を情報面から補完します。 それぞれの役割を正しく理解し、目的に応じて使い分けることが、グローバル市場での信頼確保と取引の円滑化につながります。
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