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プリント基板の厚さ(板厚)の決め方
「板厚」「基板厚さ」などと呼ばれることがあり、英語では"PCB Thickness", "PWB Thickness"などが一般的です。 また、厚さを表す方法として、"T=1.6"や"1.6T"などといった書き方をします。 全体の厚さと書きましたが、実際には表層の銅箔の厚さを含む場合と含まない場合がありますので、精度が要求される場合は注意が必要です。 このページでは、プリント基板の厚さをどのように決めるかを解説していきます。
1.6mm厚は基板の標準の厚さとされており、基材の流通が多いため、特に少量生産の場合はコスト面で有利となります。 また、DIP部品(基板の穴にリードを差し込むタイプの部品)は1.6mm厚の基板を前提に設計されていることが多く、1.6mm厚であれば問題が起こることは少ないです。 1.6mm厚で不都合がある場合は厚さの変更を検討します。 なお、量産の場合は薄い基板の方が材料費が安くなることがありますので、要求仕様に影響のない範囲で薄くすることがあります。
メーカによって異なりますが、0.8mm, 1.0mm, 1.2mm, 1.6mm, 2.0mm, 2.4mm, 3.2mmなどが一般的に流通している厚さです。 多層基板の場合は、コア材とプリプレグを積層して製造しますので、少し事情が変わってきます。 コア材、プリプレグそれぞれに厚さのラインナップがあり、それらを組み合わせて積層します。 プリプレグを2枚重ねにしたり、6層以上の場合は異なる厚さのプリプレグやコア材を組み合わせることもあります。 コア材、プリプレグ、銅箔の組み合わせ方によって、トータルの厚さが決まります。 実際には、狙いの厚さに合わせこむようにコア材、プリプレグの厚さを選択することの方が多いです。 ある程度は自由度がありますので、特注として通常製造していないような厚さに仕上げることもできますが、あくまでも厚さの組み合わせで実現しているので狙った厚さ通り誤差なく仕上げることはできません。
基板が曲がり、たわみが発生すると、はんだクラック(はんだにひびが入る)などの原因となり、動作不良を起こしたり、高電圧基板では最悪の場合発火の原因になることもあります。 リレーやコネクタ、大型の電解コンデンサなど重い部品が多数載る基板では、たわみが発生しやすいので厚い基板を選択することがあります。 また、細長い基板などは重い部品が載っていなくても自重で多少反りますので、それが問題となる場合は厚い基板に変更します。 BGAやQFNといった部品底面ではんだ付けするタイプの部品は特にはんだクラックが発生しやすいので、これらの部品を搭載する場合も同様に厚さには気を配る必要があります。 温度が高くなると反りやすくなりますし、常温であっても長年荷重がかかっていると反ってくることがありますので、薄くしたい場合は余裕をもった厚さを選択します。 なお、特に0.4mm以下の基板は非常に柔らかく簡単に曲がってしまいますので、一般的な使用の場合は0.6mm以上をお勧めいたします。 ※薄い基板はリフローの熱でもかなり反ることがありますので、手付けを前提にしていただいた方が良いです。
また、重量をできるだけ軽くしたい場合も同様に基板厚さを薄くできるか検討します。 重量に関しては基板の厚さの他に銅箔の厚さや層数も大きく影響しますので、併せて検討する必要があります。
深く検討せずに厚い基板を選んでしまうと、部品のリードが基板から突き出さず、はんだ付けできないということもあります。 基板を薄くして困ることは少ないですが、基板端面に設置するタイプのコネクタは、稀に基板の厚さが指定されていることがありますので注意が必要です。
ユニクラフトの場合、厚さ0.6mm未満の基板ではVカット加工を承っておりません。 Vカットの代わりにスリットやミシン目などの利用をご検討ください。
ユニクラフトの基準では、基板厚さの1/8未満のスルーホールは加工できません。 具体的に、T=3.2mmの基板において最小のスルーホール径は0.4mmです。 0.4mm未満のスルーホールは不具合が発生する可能性が高いため製造できません。 T=1.6mmではスルーホール径0.2mmまで加工できますので、特殊な基板を除いてT=1.6mmでは特に気にする必要はありません。 なお、基板厚さと最小スルーホール径の比率を「アスペクト比」と呼ぶこともあります。
対象となる信号線からベタ層までの距離(厚さ)が特性インピーダンスの計算に使用されます。 両面基板で特性インピーダンスを調整する場合、信号線から裏面のベタまでの距離で特性インピーダンスが変わってきますので、実質的に基板厚さを変更するかパターン幅を変更するかの2択になることが多いです。 基板厚さが厚いとパターン幅も広くする必要がありますので、両者のバランスで決めることになります。 多層基板であれば、プリプレグやコア材を挟んだ層にベタ層を配置すればよいので、信号線からベタ層までは比較的短い距離となり調整がしやすいです。
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