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プリント基板の面付け方法のご紹介



 
 
 面付けとは
面付けとは、複数のプリント基板を1枚の基板シート内に配置することです。
複数の基板がバラバラにならずに1枚に繋がっている状態を面付け基板と言います。
「パネライズ」「多面取り」「シート面付け」などと呼ぶこともあります。
「面取り」と呼ぶこともあるようですが、角を落とす意味の面取り(C面取りやR面取り)と混同するため、できれば使用を避けた方が良いです。
1種類の基板を複数枚面付けすることを「同種面付け」、異なる種類の基板を混合して面付けすることを「異種面付け」と言います。

 
 
 面付けする理由
面付けする理由はいくつかあります。
まず、量産基板などでは部品実装(はんだ付け)を自動機で行いますが、面付けされている方が時間短縮できる場合が多いです。
また、特に小さい基板では、面付することで捨て基板の割合(小基板1枚あたりの捨て基板の面積)を小さくすることができますので、基板製造費のコストダウンにつながります。
少量生産時に面付けする理由としては、複数の種類の基板を製造する際に、個別に製造するよりも面付けして製造したほうがコストが安くなります。
その他には、単品ではサイズが小さすぎて製造できない場合にも面付けしてサイズを大きくします。

 
 
 面付けの方法
さて、ここからは実際の面付け方法について紹介していきます。


● Vカットによる面付け

ごく一般的な面付け方法です。
設計が簡単なので、矩形の基板では使われることが多いです。
Vカットは刃の幅が約0.5mmありますので、Vカットの中心から0.25mmの範囲は基板表面が削られます。
また、Vカットを割るときに応力がかかりますので、Vカットから数mmの範囲には部品のランドを配置されないことが好ましいです。
Vカットからパターンまでの距離についても同じことが言えますが、そうは言ってもスペースの制約もありますので、実際のところベタパーンや太い配線はVカット中心から0.6mm程度だけ避けて配置することはあります。(計算上Vカット端から0.35mmの隙間を確保)
この例では捨て基板を設けていますが、捨て基板は必須ではありません。
部品を機械(マウンタ―・リフロー)で実装する際に捨て基板が必要になる場合がありますが、手付け実装する場合は必要ないこともあります。
※捨て基板・・・一般的には実装の際に使用する搬送用の部分であり、実装が終わったらVカットで切り離して破棄します。
 基板内にマウンタ実装用の認識マークや基準穴を設けるスペースがない場合は、捨て基板上に配置します。


● Vカットとスリット(ルーターカット・内部切り抜き)の併用

様々な事情でVカットが使えない場合、ルーターカットを併用します。
ルーターカット部分はVカットに比べて加工精度が良く、ささくれやバリが発生しないのが利点です。
このような面付け方法の場合、図の横方向は曲がりにくいですが、上下方向は曲がり(たわみ)やすくなることがあります。

なお、Vカットやルーターカット(内部切り抜き)も外形データ内に作図します。
上の面付けのガーバーデータ(外形データ)の例を掲載します。

ポイントとしては、中央のスリットを捨て基板に食い込ませることです。
ルーターは通常φ2mmの回転刃ですので、内角はR1.0程度に仕上がります。
Vカットの位置でスリットを止めてしまうと、加工のRによってバリが発生します。
捨て基板に少し食い込ませることで、バリの発生をなくすことができます。



● サイズの異なる基板を面付け

サイズの異なる基板を異種面付けした例です。
Vカットと外形加工で実現しています。
Vカットを分割した際、黄色矢印部分にバリが出ます。
ヤスリやカッターナイフなどで簡単に削れますが、これが気になる場合は以下のように対策します。



● サイズの異なる基板を面付け(バリ対策版)

中央に捨て基板を追加することでバリが発生しなくなります。



● 角の面取り

基板の角を丸めたい(R面取り)場合、基板と基板の間に捨て基板を配置することで対処します。



● 多数の基板を面付け その1

メイン基板とサブ基板を異種面付けした例です。
ジャンプVカットを使わなくても異種面付けは可能です。



● 多数の基板を面付け その2

配置を工夫することでたくさんの基板を異種面付けすることが可能です。
それぞれの個片基板が2本以上のVカットでつながるように配置することがポイントです。
(1本のVカットのみでは意図せずに割れやすいため)



● 異形基板の面付け

円形の基板を面付けした例です。
Vカット部分はどうしても直線になってしまいますので、直線になっても影響のない位置にVカットを配置します。
Vカットさえ配置できれば、円形以外の異形基板もこの方法で面付可能です。



● スリット(ルーターカット・内部切り抜き)での面付け

スリットだけで面付した例です。
Vカットがありませんので、ニッパー等で切り離すことになり、バリの除去が必要です。
この面付け方法はどんな形の基板でも可能ですので、特殊な形状の基板を異種面付けするときなどに使われることが多いです。
なお、異形基板のスリット加工(ルーター加工)は、加工時間が非常に長くなる場合があります。
面付け数が多い場合や製造枚数が多い場合など、追加費用がかかったり納期が通常より長くなることがありますのでご注意ください。

 
 
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