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Kicad 基板の設定 基板スタックアップ その1



 
  ここではKicad PCBエディター→左上「ファイル」→「基板の設定」の各画面で 出てくる用語について、それぞれ説明していきます。



 
 
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 PCBエディターのレイヤー
基板で使用する各レイヤー(配線層・シルク層・レジスト層・補助層など)を管理する画面です。

ここでは、
・使用するレイヤーの有効/無効
・基板内での役割設定(信号、電源、GNDなど)
・ユーザー定義レイヤーの追加
を行えます。

多層基板の内層設定や、設計補助用レイヤーの管理を行う基本設定画面です。



F.Courtyard
Front Courtyard
部品配置禁止/必要スペース領域
実装時の干渉チェック用
DRCで部品間クリアランス確認に使う

F.Fab
Front Fabrication
部品実装図・組立図用
正確な部品外形を記載
製造/組立資料に利用

F.Adhesive
Front Adhesive
接着剤塗布位置
波はんだ前にSMD部品固定する用途など
現代ではほぼ未使用

F.Paste
Front Solder Paste
はんだペースト印刷用データ
ステンシル(メタルマスク)作成に使用
SMDパッド用

F.Silkscreen
Front Silkscreen
部品番号、外形、文字などの印刷層
例:R1、C3、IC1 の印字

F.Mask
Front Solder Mask
緑色などのソルダーレジスト開口情報
パッド部分だけレジストを抜くための層
通常は自動生成される

F.Cu
Front Copper
基板表面の配線層
表面実装部品(SMD)のパッドもここに配置される
2層基板では主配線層の1つ

In1.Cu※多層の場合
Inner Layer 1 Copper
内層1の銅箔層
多層基板の内部配線層として使用
電源/GNDプレーンや信号配線に用いられる

In2.Cu※多層の場合
Inner Layer 2 Copper
内層2の銅箔層
多層基板の内部配線層として使用
電源/GNDプレーンや信号配線に用いられる

B.Cu
Back Copper
基板裏面の配線層
両面基板なら裏面配線に使用

B.Mask
Back Solder Mask
裏面のレジスト開口情報

B.Silkscreen
Back Silkscreen
裏面のシルク印刷

B.Paste
Back Solder Paste
裏面実装用のメタルマスク層

B.Adhesive
Back Adhesive
裏面接着剤層

B.Fab
Back Fabrication
裏面組立図用

B.Courtyard
Back Courtyard
裏面部品用Courtyard

Edge.Cuts
基板外形
基板の外周形状を定義する最重要レイヤー
この線がそのまま基板加工外形になる

Margin
外形マージン補助線
Edge.Cutsの外側に余白/セットバックを表示する補助層
製造データには通常含めない

User.Eco1
補助設計用レイヤー
自由用途
メモ、治具位置、加工指示などに使える

User.Eco2
補助設計用レイヤー
自由用途
メモ、治具位置、加工指示などに使える

User.Comments
コメント記載用
設計メモ
製造指示
社内用コメント

User.Drawings
自由作図用
補助線
寸法線
図解用の線

User.1
追加ユーザー定義層
完全自由用途
会社ルールで用途を決めることが多い

User.2
追加ユーザー定義層
完全自由用途
会社ルールで用途を決めることが多い

User.3
追加ユーザー定義層
完全自由用途
会社ルールで用途を決めることが多い

User.4
追加ユーザー定義層
完全自由用途
会社ルールで用途を決めることが多い

 
 



 

 物理的スタックアップ
基板の積層構成(スタックアップ)を設定する画面です。

ここでは、
・銅箔層数(何層基板にするか)
・各層の厚み
・絶縁材(プリプレグ/コア)の構成
・材料特性(εR、損失正接)
を設定できます。

多層基板設計やインピーダンス制御を行う際の基準となる重要な設定画面です。


導体レイヤー
基板内の銅箔層の総数を設定する項目
2なら両面基板、4なら4層基板、6なら6層基板となる

インピーダンス制御
配線の特性インピーダンス計算を有効にする設定
高速信号設計時に使用する

レイヤー
各スタックアップ層の名称を表示する欄
シルク、レジスト、銅箔、誘電体などが並ぶ

ID
その層の役割・種類を示す識別名
例:表面シルク、プリプレグ、コアなど

タイプ
誘電体層の構造種別を設定する項目
主に「プリプレグ」「コア」を選択する

材料
各層に使用する材料名
通常はFR4などを設定する

厚さ
各層の厚みを設定する項目
銅厚、絶縁層厚を入力する

ロックアイコン
厚みを固定する設定
有効にすると自動調整時にその層厚を変更しない

カラー
基板表示上のレイヤーカラー設定
3Dビューやスタックアップ表示用
製造には影響しない

εR※1
比誘電率(誘電率)
インピーダンス計算に使用する材料定数
FR4では一般に4前後

損失正接※2
誘電正接(tanδ)
高周波での信号損失計算に使用する値

プリプレグ
半硬化樹脂を含浸したガラスクロス絶縁材
積層時に加熱圧着して層間接着を行う

コア
両面に銅箔が付いた硬化済み基材
多層基板の中心材料となる

スタックアップからの基板厚
設定した各層厚の合計から算出された総板厚

誘電体の厚さを調整
総板厚に合わせて誘電体厚を自動調整する機能

導電体レイヤーを追加
内層銅箔を追加して多層化するボタン

導電体レイヤーを削除
内層銅箔を削除するボタン


※1 εR
比誘電率(Relative Permittivity)を表す値です。
電気信号がその材料中を伝わる際に、どれだけ電界を蓄えやすいかを示します。
この値が大きいほど信号の伝搬速度は遅くなります。
インピーダンス計算では非常に重要なパラメータです。
同じ配線幅でもεRが高いほどインピーダンスは低くなります。
一般的なFR4ではおおよそ4.0〜4.8程度です。
ただし周波数や材料グレードによって変化します。

通常の低速回路ではほとんど意識する必要はありません。
以下のようなインピーダンス制御が必要な配線で重要になります。
USB、HDMI、DDR、PCIe、Ethernet、高速差動信号などです。
これらでは目標インピーダンス(例:50Ω、90Ω差動、100Ω差動)に合わせて
配線幅や層構成を決めるため、εRが必要になります。


※2 損失正接
誘電正接(tanδ / Dissipation Factor)を表す値です。
材料内部で電気エネルギーが熱として失われる割合を示します。
この値が大きいほど高周波信号の減衰が大きくなります。
高速伝送・高周波回路では重要な指標です。
一般的なFR4では0.015〜0.025程度が多いです。
低損失材ではこれよりかなり小さい値になります。

通常の低速デジタル回路ではあまり気にしませんが、
高速差動信号やRF設計では重要になります。
通常のデジタル回路・一般的なマイコン基板ではほぼ不要です。
以下のような高周波・高速伝送で伝送損失が問題になる場合に重要です。
RF回路、GHz帯通信回路、長距離高速伝送、超高速SerDesなどです。
信号品質(アイパターン、減衰、ジッタ)に影響するため確認します。

ざっくり言うと
「配線がつながればOK」の基板ならまず不要です。
「配線を何Ωに合わせる必要がある」段階でεRが必要になります。
「その高周波信号が減衰しすぎないかまで気にする」段階で損失正接も必要になります。


その2に続きます。
 
 



 


 

 
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