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Kicad 基板の設定 デザインルール その2



 
  ※ここではKicad PCBエディター→左上「ファイル」→「基板の設定」の各画面で 出てくる用語について、それぞれ説明していきます。
デザインルール その1はこちら



■ デザインルールとは
PCB設計時の「製造条件」や「安全基準」を決める設定です。

例えば、

・配線の最小幅
・配線同士の間隔
・ビアの最小サイズ
・基板端からの距離

などを定義します。

KiCadはこの設定をもとにDRC(デザインルールチェック)を行い、ショートや製造不可などを検出します。

基板メーカーの製造能力に合わせて設定することが重要です。
ユニクラフトのデザインルールはこちら


 
 
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 ティアドロップ


ティアドロップとは、配線とパッド・ビアの接続部分を涙型に広げて補強する機能です。
細い配線がそのままパッドやビアに接続されると、ドリルずれや製造誤差によって接続部分が細くなり、断線やランド剥がれの原因になることがあります。

そこで接続部分をなだらかに太くすることで、製造安定性や接続強度を上げます。
特に、細い配線・小さいビア・高密度基板・手はんだが多い基板などで効果があります。

■ この画面で設定する内容

この画面では、ティアドロップの形状を設定します。
具体的には、

・どれくらい長く伸ばすか
・どれくらい太く広げるか
・曲線にするか
・ゾーン接続を優先するか

などを決めます。

■ 円形の形状に対するデフォルトプロパティ

円形パッドやビアに対するティアドロップ設定です。
例えば、スルーホール部品の丸パッド、ビア、丸形ランドなどに適用されます。

■ 矩形の形状に対するデフォルトプロパティ

四角形のパッドに対するティアドロップ設定です。
例えば、SMD部品の角形パッド、コネクタ端子、ICのパッドなどに適用されます。

■ 配線-配線間のティアドロップのプロパティ

配線同士の接続部分に対するティアドロップ設定です。
例えば、細い配線から太い配線へ変わる部分や、配線幅が途中で変化する部分に適用されます。

■ 最適な長さ(L)

ティアドロップをどれくらい長く伸ばすかを決める項目です。
数値を大きくすると、接続部分がなだらかに広がります。

長くすると補強効果は上がりますが、周囲の配線やパッドに近づきやすくなります。

■ 最大長(L)

ティアドロップの長さの上限です。
「最適な長さ」で大きな値を設定しても、この最大長を超えないように制限されます。

ティアドロップが長くなりすぎて、近くの配線や部品に干渉するのを防ぐための設定です。

■ 最適な幅(W)

ティアドロップをどれくらい広くするかを決める項目です。
数値を大きくすると、パッドやビアへの接続部分が広くなります。

接続強度は上がりますが、周囲のクリアランスには注意が必要です。

■ 最大幅(W)

ティアドロップの幅の上限です。
広がりすぎを防ぐための制限値で、隣の配線やパッドに近づきすぎないようにするために使います。

■ 曲線のエッジ

ティアドロップの外形を曲線にする設定です。
チェックを入れると、接続部分が滑らかな形状になります。
チェックを外すと、直線的な形状になります。

見た目をきれいにしたい場合や、なだらかな銅箔形状にしたい場合はONでよいです。

■ ティアドロップが2つの配線セグメントを跨ぐことを許容

配線の曲がり角や短い配線区間をまたいで、ティアドロップを作成できるようにする設定です。
チェックを入れると、配線の形状に多少の曲がりがあってもティアドロップを生成しやすくなります。

通常はONで問題ありません。

■ ティアドロップが配線セグメントにまたがることを許可する

矩形パッドや配線-配線間の接続で、ティアドロップが隣接する配線セグメントまでまたがることを許可する設定です。
狭い部分や曲がった配線でも、ティアドロップを作成しやすくなります。

こちらも通常はONで問題ありません。

■ ゾーン接続を優先する

GNDベタなどのゾーン接続を優先する設定です。
ティアドロップよりも、銅箔ゾーンとの接続を優先したい場合に使用します。

GNDベタや電源ベタを使う基板では、基本的にONでよいです。

■ 配線幅の制限

ティアドロップを生成する際の配線幅に関する制限です。
極端に細い部分や、極端に太い部分に不自然なティアドロップができるのを防ぎます。

通常はデフォルト値のままで問題ありません。

■ どういう時に数値を変更するか

普通の2層基板や一般的な試作基板では、基本的にデフォルト値のままで問題ありません。
数値を変更するのは、主に以下のような場合です。

・細い配線を多く使う場合

0.2mm以下の細い配線を多く使う場合は、接続部分を補強する目的でティアドロップを使うことがあります。

・小さいビアを多く使う場合

小径ビアでは、ドリルずれの影響を受けやすいため、ティアドロップでランド周辺を補強することがあります。

・高密度基板の場合

部品や配線が密集している場合は、ティアドロップが大きすぎると周囲と干渉しやすくなります。
そのため、最大長や最大幅を小さめに調整することがあります。

・電源ラインや大電流ラインの場合

電源ラインでは、接続部分を太くして電流の流れを安定させたい場合があります。
その場合は、ティアドロップの幅や長さを少し大きめにすることがあります。

■ 基本的な考え方

最初のうちは、細かく数値を変更する必要はあまりありません。
まずはデフォルト設定のまま使用し、DRCエラーが発生した場合や、ティアドロップが大きすぎて配線やパターン配置の邪魔になる場合のみ調整すれば十分です。

ティアドロップは必須機能というより、製造時の信頼性やパターン強度を向上させるための補助機能として考えると分かりやすいです。
 
 



 

  配線長の調整/パターン


この画面は、配線長調整(Length Tuning)を行う際のパターン形状を設定するページです。
高速信号では、配線の長さを揃える必要がある場合があります。

例えば:

・DDRメモリ
・USB
・PCIe
・LVDS
・差動ペア

などです。

配線が短すぎる場合、そのままでは長さが揃わないため、蛇行させて長さを追加します。
その蛇行形状をどう作るかを設定するのが、この画面です。

■ 単線の調整のデフォルトプロパティ

通常の1本配線の長さ調整設定です。
例えば、クロック線や高速信号1本の長さを合わせる時などに使います。

■ 差動ペアのデフォルトプロパティ

差動配線(+/-の2本セット)の長さ調整設定です。
USB、LVDS、Ethernetなどで使われます。

2本同時に蛇行させながら長さを合わせます。

■ 差動ペアの遅延のデフォルトプロパティ

差動ペア同士の遅延差を調整するための設定です。
2本の長さ差やタイミング差を細かく合わせたい時に使用します。

■ 最小振幅(A)

蛇行パターンの高さ(振れ幅)の最小値です。
数値が小さいとコンパクトになります。
数値が大きいと、ゆるやかな蛇行になります。

■ 最大振幅(A)

蛇行パターンの高さの上限です。
大きくしすぎると、周囲の配線や部品と干渉しやすくなります。

■ 間隔(S)

蛇行部分同士の間隔です。
狭すぎると、隣接部分との結合が強くなり、ノイズやインピーダンスへ影響することがあります。

高速信号では重要な項目です。

■ 角のスタイル

蛇行部分の角形状を決めます。
主な例:

・フィレット → 丸く滑らか
・直角 → カクカク形状

通常はフィレットが使われます。
高速信号では滑らかな方が好まれます。

■ 半径(r)

角の丸みの大きさです。
大きいほど滑らかに曲がります。

急激な曲がりを減らせるため、高速信号では大きめにすることがあります。

■ 片側のみ

蛇行を片側だけへ作る設定です。

チェックOFF:
上下へ蛇行

チェックON:
片側だけへ蛇行

スペース制約がある時に使います。

■ どういう時に数値を変更する?

普通のLED回路やマイコン基板では、基本的にほぼ使いません。
この設定を本格的に使うのは、高速信号設計時です。

■ USB・DDR・LVDSなど

配線長を揃えないと、信号タイミングがズレる場合があります。
その時に蛇行配線で長さを追加します。

■ 高密度基板

スペースが狭い場合は、振幅や間隔を小さくします。
ただし狭すぎるとノイズ影響が増えます。

■ 高速差動ペア

USBやLVDSでは、差動ペア間隔や蛇行間隔が重要になります。
間隔が近すぎると、インピーダンスや結合へ影響する場合があります。

■ 基本的な考え方

一般的な電子工作や2層基板では、ほとんどデフォルト設定のままで問題ありません。
本格的にこの設定を触るのは、USB3.0・DDR・PCIeなどの高速回路や、多層基板を扱う段階になってからが多いです。
特に4層基板以上では、高速信号・差動ペア・インピーダンス制御などを意識する場面が増えるため、配線長調整が重要になることがあります。



次回に続きます。
 
 



 


 

 
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